ローエントロピーな暮らし
- aureliecharmante
- 2017年2月1日
- 読了時間: 3分

エントロピーという耳慣れない言葉を初めて目にしたのは、15歳の頃。
通っていた塾の先生が、ある時講義ノートを見せてくれたのです。
先生は当時、京都大学の工学部に通うほど頭がよい人だったから
「私はいま、一生出会わなくていい言葉と出会ってしまった気がする!」と、叫びました。
15歳の私は知らなかったのです。
数十年後にこの不可思議な言葉「エントロピー」が
私と主人の暮らしの大黒柱になることを。
はて、その「エントロピー」とは何なのでしょう?
「エントロピー」はもともと熱力学で使われる言葉です。
物理学者の槌田敦先生著「エントロピーとエコロジー」(ダイヤモンド社)には
このように記されています。
「エントロピーというのは、熱や物の拡散の程度を示す物理量である」(P186)
といっても、ちんぷんかんぷんですね。
わかりやすい例をあげましょう。
あついお湯を注いだコップを、寒い部屋のテーブルの上に置いておきます。
お湯は時間がたつにつれ、次第に冷めて、やがて水になります。
再び火にかけないと、自然の状態のまま放置していてはお湯にはなりません。
というわけで、この熱の拡散は不可逆(元に戻ることができない)といえます。
これを熱学第二法則やエントロピーの法則と呼びます。
この 熱学には第三法則や第四法則まである、などなど
細かいことは専門書に任せておくとしても
暮らしのあらゆる側面で
この「熱(熱量)の移動」を表す「エントロピー」を考えることはとても楽しいのです。
そしてそれこそが、まさに本サイトでお伝えしたいことなのです。
というのも、温暖化が進む昨今、地球上のエントロピーが増え続けていることが
如実に感じられるようになりました。
もともと地球は太陽から届く熱(光)を大気に放出して温度のバランスをとっていました。
しかし、石油や石炭など化石燃料の使用が増えその均衡が崩れた温暖化の状態が続いています。
もともと石油や石炭は3億5900万年前に地球上で繁茂していたシダやトクサなどの植物やプランクトンが化石になり、地中に閉じ込められていたもの。
これらは光合成をして、酸素を外に吐き出し、CO2を体内にためています。
この貯蔵されていたCO2が、燃やすことによって再び空気中に放出されるので、
地球上ではCO2がどんどん増えている、しかも加速度的に進んでいるのです。
熱力学第二法則にのっとって考えると、
この地球のエントロピーが増大することも不可逆的に進むため
地球の温暖化も、後戻りはできません。
けれど、せめてその流れをゆっくりにすることはできないか?と
いつからか、私たち夫婦は朝な夕な話し合うようになりました。
いつからでしょう?
それは多分、築70年になる古民家に住み始めたことがきっかけです。
もともと農家が住んでいた我が家は、夏は暑く冬は過酷なまでに寒い。
天井まで3.5mほどもあるリビングをストーブで温めるには、相当の量のエネルギー源が必要だし
あつい夏を熱中症にならないように過ごすには、
暮らしのリズムを大幅に変えることが必要です。
ではどうやって生きれば楽しいのかというと、
もともとこの家のオーナーがしていたように
農耕のリズムを生活に取り入れること、でした。
農業の目安になる24節気72候に基づいた暮らし、つまり
太陽の動きを中心とした暮らしを私たちは「ローエントロピーライフ」と呼び、なるべく
化石燃料よりは、太陽の恵みを感じる暮らしを実践することにしました。
古民家の暮らしは、かつて谷崎潤一郎が「陰翳礼讃」で記したように
影に満ちています。
しかし、太陽がもたらす光の恵みはあらゆるものに姿を移して、
私たちの暮らしに彩りを添えてくれることを感じ取るには最適の空間です。
写真家であり、友人である衣笠名津美さんによる美しい写真とともに、
影が照らし出す暮らしの光を見ていただければ幸甚です。
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